文章書きための場
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あぁ もう終わりかな、って思った。
こんなところ。
私は過去、喧嘩が強かった。
今だって体が鈍ってはいるが、1対3くらいまでなら勝てる自信も充分にある。
大体、女同士の体張ったやりあいなんて醜くなんでもありだ。
銃なんか飛び道具はないにしても、ナイフも釘もコンクリブロックも、振ればそれなりの凶器。始めたが最後、いかに情けをかなぐり捨てるか。
私は喧嘩は好きじゃない。
ストレス発散の捌け口として便利でも、自分が殴るのはよくても、やられるのは痛いから嫌い。まあそれを知っているからこそ人は人を殴るんだろうけど。
私はそんなことに魅力を感じるまで変人じゃない。
そしてあの人は私を拾った。
「変なカッコの男」
そう思った。
でもその変なカッコの男は、血溜まりで地面に抱き着く私にただ
「アナタ大丈夫ですかァ?」
と言って口端を持ち上げた。
「…大丈夫に見えたら眼科にどうぞ」
「ははっ、面白いこと言いますねぇ、アナタ」
男は手にしていた白い扇子を素早く広げて口元にあてがい、笑った。変な人。
「変なカッコのあなた、慈悲の心をもってして、あそこの側溝に落ちてしまう寸前の危うい私のケータイを拾って持って来てくれませんか」
動かない体は敢えて動かさない。
視線だけ外灯に照らされている携帯を見る。
男も私の視線にそってそちらを見る。
「待っててください」
正直以外だった。
まさかきいてくれるとは。
別に逃げればいいのにね。
逃げられたくないけど、本当にそうされたらちょっと寂しいけど、世はリンチされた女子高生には優しくしてくれるみたい。
私だったらそんなの全力疾走して無視するだろう。
それとも地面に転がっている他人を無視しないなんて、やっぱりあの人は変な人なのか。
立ったまま腰を曲げて携帯を掴み、ちょっと自分の服の袖で血を拭いながら男は問う。
「何したらそこまでなるんですか」
「8人くらいにリンチされたらこんな風に…」
「そうです、か」
「か」で携帯を差し出されてそれを受け取る。
「…弱い人達は束にならないと駄目なんです。いつまでもそうだから弱いまんまなのに。
本当に強い人は無駄に喧嘩なんかしないのに。
ぎゃあぎゃあ騒いでたりしないで我が道いってるのに」
聞いてくれる人がいるせいでやや饒舌になってしまう。
「あなたはなんだか喧嘩強そうですよね。」
男に向かって何と無くそう言う。
男の体は着物で隠れているからわかりにくいが、袖から覗いた腕はよく鍛えられているように見えた。
青春時代はなにかスポーツでもやっていたのかなぁと考え、男の顔を見るとそこで初めて目が合った。
笑いもしないけど無表情というわけでもなくて、ただ単に私を見下ろしているだけなんだと思う。
「喧嘩は…まあ弱くもないでしょうが。喧嘩はしたことがないので…。
ただ、殺しあいはあっても」
さりげにすごいことを言いなすった。
「殺しあいのほうが簡単ですか?」
「少し時間はありますか?」
「何ですか、ナンパですか。ときめきますよ」
何言ってんの私。
痛みのあまり朦朧としてるのかな。
「まあ、ナンパっちゃあナンパですかね、お付き合いください」
差し出された手が欲しかった。
どうなってもいい。
「よろこんで」
手に手を取り合ってからは、私はあなたの所有物。
私がそう決めたから。
変な人の名前は「 」といった。
こんなところ。
私は過去、喧嘩が強かった。
今だって体が鈍ってはいるが、1対3くらいまでなら勝てる自信も充分にある。
大体、女同士の体張ったやりあいなんて醜くなんでもありだ。
銃なんか飛び道具はないにしても、ナイフも釘もコンクリブロックも、振ればそれなりの凶器。始めたが最後、いかに情けをかなぐり捨てるか。
私は喧嘩は好きじゃない。
ストレス発散の捌け口として便利でも、自分が殴るのはよくても、やられるのは痛いから嫌い。まあそれを知っているからこそ人は人を殴るんだろうけど。
私はそんなことに魅力を感じるまで変人じゃない。
そしてあの人は私を拾った。
「変なカッコの男」
そう思った。
でもその変なカッコの男は、血溜まりで地面に抱き着く私にただ
「アナタ大丈夫ですかァ?」
と言って口端を持ち上げた。
「…大丈夫に見えたら眼科にどうぞ」
「ははっ、面白いこと言いますねぇ、アナタ」
男は手にしていた白い扇子を素早く広げて口元にあてがい、笑った。変な人。
「変なカッコのあなた、慈悲の心をもってして、あそこの側溝に落ちてしまう寸前の危うい私のケータイを拾って持って来てくれませんか」
動かない体は敢えて動かさない。
視線だけ外灯に照らされている携帯を見る。
男も私の視線にそってそちらを見る。
「待っててください」
正直以外だった。
まさかきいてくれるとは。
別に逃げればいいのにね。
逃げられたくないけど、本当にそうされたらちょっと寂しいけど、世はリンチされた女子高生には優しくしてくれるみたい。
私だったらそんなの全力疾走して無視するだろう。
それとも地面に転がっている他人を無視しないなんて、やっぱりあの人は変な人なのか。
立ったまま腰を曲げて携帯を掴み、ちょっと自分の服の袖で血を拭いながら男は問う。
「何したらそこまでなるんですか」
「8人くらいにリンチされたらこんな風に…」
「そうです、か」
「か」で携帯を差し出されてそれを受け取る。
「…弱い人達は束にならないと駄目なんです。いつまでもそうだから弱いまんまなのに。
本当に強い人は無駄に喧嘩なんかしないのに。
ぎゃあぎゃあ騒いでたりしないで我が道いってるのに」
聞いてくれる人がいるせいでやや饒舌になってしまう。
「あなたはなんだか喧嘩強そうですよね。」
男に向かって何と無くそう言う。
男の体は着物で隠れているからわかりにくいが、袖から覗いた腕はよく鍛えられているように見えた。
青春時代はなにかスポーツでもやっていたのかなぁと考え、男の顔を見るとそこで初めて目が合った。
笑いもしないけど無表情というわけでもなくて、ただ単に私を見下ろしているだけなんだと思う。
「喧嘩は…まあ弱くもないでしょうが。喧嘩はしたことがないので…。
ただ、殺しあいはあっても」
さりげにすごいことを言いなすった。
「殺しあいのほうが簡単ですか?」
「少し時間はありますか?」
「何ですか、ナンパですか。ときめきますよ」
何言ってんの私。
痛みのあまり朦朧としてるのかな。
「まあ、ナンパっちゃあナンパですかね、お付き合いください」
差し出された手が欲しかった。
どうなってもいい。
「よろこんで」
手に手を取り合ってからは、私はあなたの所有物。
私がそう決めたから。
変な人の名前は「 」といった。
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