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文章書きための場
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精神が対象の形態にとらわれた状態の主観的な信念。虚妄である我にとらわれた意識。我執。
それに投じる者だけが見出だせる他者の想 とは異なる世界。
我心が創り上げた幻想であって、実現しないからこそ理想的な妄想に耽る。満足した状態では妄想が働かないと推測されることから、欲の望み。
満たされない欲求を脳内補完したもの=妄想
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そもそも私と雪は友達でもない。

それでも傍から見れば多くの時間を一緒に過ごす二人の少女の姿は、仲睦まじい親友にでも見えたのかもしれない。だが実際にそんなことはない。私には友人らしい友人もいないのでよく知らないが、私達の関係は周りにふわふわといる他人達の友情のそれとはおよそ似ても似つかないと思う。だからといって雪にそれを求めることはなかったし、雪との間に広く一般の友人の付き合いを得られないからといって、雪以外の人物と必要以上のコンタクトをとろうとも思わなかった。
結局、私は雪と別れた後いつものように家に帰り、いつものように酒の臭いを嗅ぎ、いつものように生酔いの親父の背中を軽く蹴った。
「娘は雪の中学業に勤しんで来たってのにその親父が家で酒?」
「何だ春か。ただ今日は休みなだけじゃないか。日曜に必ず休みのある君と違って僕は毎日働き詰めなんだ。なのに、ああ!何ともはや、一人娘に僕は蹴られてるなんて。全く現代っ子の恐ろしさは限度を知らない」
そういうと親父はあからさまに泣いたふりをした。付き合っていられない。無視をして散乱する雑誌や文庫を一冊ずつ部屋の真ん中のテーブルに積み上げていく。
「何だってこんなに散らかしてくれるかな。本を読むなとは言わないけれど、片付けてくれないんならこんなに溜めないでさっさと売ればいいのに」
「片付けようとすると君が片付けてくれるから。タイミングの問題だ」
「貴方の不精の問題です」
「何だってそう日毎に母親に似るのかな、君は」
「お父様に似るとお父様の世話をする人間がいなくなるからです」
「言い得て妙だねぇ」
感心する暇があるなら片付けを手伝え駄目人間。そう思っても口にはせずに最後の一冊をぽすんと本の束に落とす。言い合いをしたとて反抗し続けないのは私なりの親孝行だ。なんだかんだ、親に感謝する情があるからである。
嘘だ。ただ単にこの男と喧嘩をするのが無理だからだ。相手が何故怒るのかを根本的に理解していない人間に対してこちらが一方的にふて腐れて、疲労するだけなのは経験上揺るぎない。
早く大人になりたい
そんで早く死にたい

一日がもっと早く過ぎちゃえばいいのに

一日を一週間に…一ヶ月に…いや一年に…いっそ十年刻みにすれば一週間か十日間くらいで死ねちゃうかも
それってどんなに幸せだろうね

でも私はまだ駄目だ

だって、一秒が一年ならあっという間だよ
十年ならさらにね
百年にしたら瞬きするより簡単に死ねるかもしれないんですもの

臆病者だよ
そうは望めない

はやく死にたいっていうくせに、いますぐ自殺することもできない
デブでかわいくない(性格の、といいたい)女の私に、無邪気に指切りを誘う、人気者のあなたは何を考えているんだろう。そこらの女子達が言うように、本当に天使みたいね。
もっとも、私は天使のことなんて何ひとつ知りやしないけど。

前から見てた。天使を。
天使はいつでもかわいらしい顔をして、いつでも人の中心に居て、絵に描いたような人気者の姿を現実に映していた。
拗ねた怒りがかわいらしく、跳ね回る姿がかわいらしく、また誰にも屈託のない人間としての出来が、素晴らしくデキていた。
私は天使に憧れると共にひがんでいた。憧れても憧れても自分とはかけ離れた彼の人間性を見ると胸が痛んだ。
その反応すら醜い。


 あのこが私とあのこの肉体ひとつ残して、死の世界に首を突っ込んでから五年が経とうとしている。
微妙にキリのいい数字を迎えると、人が死んだことがますます思い出めいてきて、私はあのこが死んだシーズンが来ると、またぼんやりとあのこが生きていた頃にしでかした色んなことを思い出す。

 活発なこだった。
いつも近所のおばさん達に「妹さんは元気ねぇ」と言われていたのはまだ記憶に新しい。
あのこの有り余る元気がなせる行動は、おばさん達のなかなか閉じない口のいいネタになっていたものだった。
 
私は、あの子の死で初めて死を知った。
2歳くらいのときに、曾爺さんが死んだらしいが、覚えていないのでそれはカットする。

あの子が死んで、お父さんと親戚が葬式の準備をした。
いつもより早起きして、家の中を片付けて、あの子の部屋の紙ゴミを捨てに行って、トーストを焼いた。少し焦げていた。
黒い服を着て、緋色の数珠を箪笥から出して、思い出したように雨戸を開ける。今日は晴れ。
正座で足が痺れたんだ。
お昼は出前の鰻、デザートに林檎を剥いた。
お葬式っていうのは家の整頓をして、久しぶりに親戚に逢ってご飯を食べて…そういうものだと思っていた。
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