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何でもかんでも疑ってかかるなんて、損な生き方すんなよー

任務は絶対!!

ぬくぬくとぉー!!!

姉さんは具合いが悪いんだから、ちゃんと寝ててください。

脳がっ! 縦に揺れ…っ
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暇だ。

やることがない。
暇だからといって別に死ぬわけではないのはわかっているが、それでも暇…だー……

「ゴホっ がふっ…ゲホッ」

おまけに此処に来る前から酷かった咳が、砂っぽくて埃っぽいというこの建物の最悪条件下のため、益々ひどくなった気がするのだ。
…いや、実際ひどくなっている。
先程からレンは痛い・辛いという感情を素直に認めてしまうと、余計にダメージが大きくなるような予感がして自身に抵抗を試みていたのである。それは夏の暑い日に「暑い」と口にすると、さらに暑くなった気がしてしまうのと似ている…
しかしもう限界だ。痛いものは痛いし、辛いものは辛い。
急いでポケットの携帯電話に手をのばしたが、先刻公衆トイレの中に落とされるというある種憎んでも憎みきれない仕打ちを受けたのだということを思い出して、慎はがっくりとうなだれた。
大人しく公衆電話を探すことになるが、探そうと思うと意外と見つからないから不思議なものである。
5分後に地下鉄構内にならあると思い出し、小銭を作るために要らぬ飲み物まで買う羽目になり、この時点で慎の怒りは沸点を軽く超えていた。
 昔、近所に男の子の幼なじみがいた。
こいつがだめだめな運のない男で、走れば滑って転んで水溜まりに飛び込み、犬の散歩に行けば逆に犬に引っ張られて、紐に手首を締め上げられる情けのない奴だった。
彼の名は淳といったが、そのダメっぷりに銘打って、「だめ淳」と私は読んでいた。
 一方、私はといえば、そこそこお金持ちの家のお嬢様で、幼い頃から自由に奔放に過ごしてきた。
今の私はどこにだしても恥ずかしくない娘さんに成長している。本当だ。
だめ淳とは家が斜向かいの位置関係にあり、幼稚園生になる前に三輪車で電柱に突っ込むという馬鹿らしいプチ交通事故を起こして泣いていた奴に、私が蹴りをいれて「泣くな」と一喝したのが出会いだ。
その時私がだめ淳の顔を乱暴に拭った某高級ブランドのハンカチを、奴は未だに保管しているらしい。
しかもその理由が「勿体ないから」だなんて、どんだけ貧乏くさいんだ。
誤解しないで欲しいが、だめ淳の家だって一応金持ちの部類に入っている。何せ私達の家一帯は一等地なんだし。
なのにだめ淳にはどういうわけだか貧乏くさい血が流れているらしく、そのハンカチを机の1番上の引き出しに保管している。
私ははっきり言って貧乏くさいのは嫌いだ。
そのせせこましい生きざまに苛々するのだとだめ淳に言うと、彼は複雑そうに笑うのだった。
思い出に固執するのと貧乏性は違う。
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